「ほら、栞の好きなバニラアイスだぞ…」
そう言って祐一は栞の唇に人差し指をそっとあてがい、ルージュを引くように
擦りつけた。
体温で溶けかけた白いバニラアイスが口紅も付けていない薄紅色の唇にまとわり
付き、熱い吐息を漏らす唇の端から小さな顎を伝って滴っていった。
「あ……は、はい……」
乳首の性感を刺激され、頬を紅潮させて眉を寄せた栞は驚くほど容易く祐一の
示唆に従った。
白く塗られた唇の中から現れた赤い舌は生き物のように蠢き、唇を覆う白い
半液体を舐め取ると祐一の指にまでその貪欲な先端を伸ばした。
栞の舌が祐一の指に絡み付き、白く塗られたバニラアイスを舐め取って行く。
ぴちゃぴちゃと微かな音を立てて舌を伸ばすその様は、赤く染まった頬と陶然と
した瞳と相まって街灯に照らされた栞の姿をより淫猥に映していた。
「ちゃんと一滴残さず舐め取るんだ」
「ふ……ふぁい………」
栞が舌を動かしている間も祐一の左手は休み無く動き、セーターの下の乳首を、
脇腹を、栞の躯全てをまさぐり続けていた。
セーター越しに伝わってくる柔らかな栞の肌の感触。
それに直に触れる瞬間がそう遠くない未来まで近づいていることを想像し、祐一は
唇の端を歪めて微笑んだ。
指に付いたバニラアイスを全て舐め取ってなお、栞の舌は祐一の人差し指に舌を
這わせ続けている。
それを祐一は素直に可愛いと思った。
人差し指を栞の唇の中に沈めてみる。
「んっ………」
一瞬戸惑った物の、すぐに舌を絡め、唇ごと吸い付いてくる。
ゆっくり第二間接までいれて、同じぐらいの早さで引き抜く。
まるで母親の乳を吸う赤ん坊のように栞の舌は祐一の指に吸い付き、離れそうに
なると縋り付くように舌で追い求めてくる。
ご褒美とばかりに祐一は左手で栞の右の乳房を揉みしだき、硬くしこった乳首を
親指と人差し指でつまみ上げる。
「ふんっう…!」
祐一の指を口に含んだままの栞が声を上げる。
さらに左手の中指まで口に含ませ、先ほどよりややスピードを上げたピストン運動
を始める。
口腔に進入してくる二本の指に唇を犯され、一方では艶めかしく動く五本の指に
胸の先端を犯される。
今までに味わったことの無い混乱の中で、栞は微かな恐怖と…躯の奥が熱くなる
様な妖しく、甘美な感覚に苛まれていた。
熱っぽく火照ったセーターの中の躯を持て余すように栞は躯を捩った。
「んっ……ふっ……」
二本の指をしゃぶったままで体をくねらせ、祐一の膝の上に座った尻も
僅かに震える。
その途端、栞は臀部に当たる硬質の感触に気付いた。
祐一の膝の上に座り、背後から抱きしめられた時は感じなかった熱く、硬い感触。
その正体が何か、中学校の女友達同士での雑談程度の知識しかなかった栞でも
即座に気付いた。
いや、悟った。
人間が縋る貧弱な悟性の下に隠された生物としての本能で。
雌の本能で。
……祐一さんも…興奮してるんだ……
尻の後ろに感じる熱い棒の感触に栞は未知なる物への恐怖と、恋する男を
自分がこの様にしているという歓喜を感じた。
ぽーっと熱くなった頭でその分裂した心をどう扱うか決めかねている栞の乳首を、
祐一の指がきゅっ、とつねり上げた。
「ぅんっ!」
思わず声を上げ、唇に含んだ指に歯を立てる。
がりっ!
「っつ」
出し入れしていた指を噛まれた祐一は思わず声を漏らした。
「っあっ…ご、ごめんなさい!私、わたし…」
自分がしたことに気付いてうろたえる栞に祐一は優しく声をかけた。
「…いいさ、別になんともないし…少しびっくりしただけだ」
膝の上に座り、こちらを心配そうに見つめる栞の瞳には純粋に、自分の過ちへの
後悔と祐一の身への気遣いがあった。
「なんだよ大袈裟だな…たかだか指の一本や二本。ほら、もう何ともないぜ」
そう言って祐一は噛まれた指をひらひらと振って見せた。
栞の唾液に濡れた指が夜気に冷たい。
「……すいません」
すまなそうに目を伏せる栞の顔を見つめながら祐一はどうした物かと考えて
いたが、ふと栞の左手を栞の顎に手を伸ばし、自分の正面を向かせた。
「え?」
栞が心を決める間も無く、唇を重ねる。
互い違いに重ね合った顔を深く押しつけ、舌を口の中に入れて栞のそれに絡める。
舌を入れた瞬間びくりと跳ねた栞の体は、すぐに力を抜いて祐一にもたれかかって
来た。
お互いの口の中に舌を入れ合い、絡め合い、歯茎の裏まで舐め取るディープキス。
祐一に比べると栞の舌はまだおずおずとした感じが抜けない物の、それでも祐一の
動きに合わせてその小さな舌を懸命に動かして答えようと頬の裏側を這い、歯の
付け根を舐め、自分の唾液と祐一の唾液を交換し、喉を鳴らして呑み込みながら
体ごと密着してくる。
やがてどちらからともなく唇を離した時、、栞の瞳は夢ならぬ夢を見ているかの
様にうっとりと見開かれ、唇の端からは唾液の糸の切れ端が垂れ下がっていた。
「これでおあいこって事で…どうかな」
祐一の言葉に栞はただ恥ずかしそうに下を向き、ずるいです、と一言だけ言って
そのまま祐一の胸に顔を埋めた。
栞の頭を抱きしめながら祐一は堪えきれない程に強くなってきた肌寒さを初めて
意識していた。
愛撫の最中には気付かなかったが、夜も更けてくるとこの辺りの峻烈な寒さは
祐一にはどうにも耐え難い。
河岸を変えるかな、と胸中で一人ごちる祐一の腕の中で、栞は幸せそうに
微笑んでいた。
肩を抱いた祐一に導かれるようにして入ったラブホテルのバスルームで、
栞は熱いシャワーに全身を晒しながらこれからの事に思いを馳せた。
祐一に体を開くことに迷いは無い。
だが、心の底にある緊張まで押し殺すことは難しかった。
生来の病弱さ故に通院を繰り返していた栞には男友達を作る程の積極さも
無ければ、自分が男に抱かれる事を想像するほどの余裕も無かった。
まるで考えたことがない、と言うわけでは無いがなんというか、そういう
放埒な想像は栞の日常で繰り返される自分の肉体との戦いと絶え間ない
自己観察、そこから生まれいつしか栞の深層に澱のように積み重なっていった
ある悲観的な観測結果…『自分はそう長くは生きられないのではないか?』
…そういう諸々とどうにか折り合いを付けながら日々を過ごす栞にとっては
男と寝るとか自分の将来をどうするとか言った「不確定な未来」を考えることは
まるで絵空事に感じられて、それが実現するかもしれないという気分には
どうしてもなる事が出来なかった。
そして今、その自分が男と一緒にホテルに入り、こうしてシャワーを浴びている。
その事実がおかしくて、栞はふと微笑みを漏らした。
…感謝するべきなのかも知れない。
ほんのささやかではあるけれど…私の人生にも、不確定さの入り込む
余地がまだあるという事を。
胸の動悸がより強くなったように感じられた。
備え付けのスポンジを手にとって、ボディソープを染み込ませる。
透けるような白い肌を泡立てながら、栞は願った。
もっと綺麗になりますように。
祐一さんに私のことをずっと覚えていてもらえるように。
私がいなくなっても、私を抱いたことを忘れてしまわないように。
私が今日、ここにいたことを…ずっと覚えていて貰えるように。
栞より先にシャワーを使い、備え付けのバスローブを身に纏った祐一は
ベッドに腰掛けていた。
その手は学生鞄の中をなにやらごそごそと漁っている。
ちらりとバスルームの方を窺い、栞がまだ出てきそうにない事を確認すると
祐一は目当ての物を取り出した。
鞄の中から祐一が取りだしたのは、ありふれたPHSだった。
短縮番号を押し数回のコール音の後、回線が繋がる。
「もしもし?」
「…もしもし、相沢か?」
電話の向こうから伝わってくるのは、若い男の声。
「相沢だ…そう、いきなりで悪いんだが、頼みがあるんだ」
「頼み?何だよ」
一拍置いて続ける。
「…お前の所の猫を貸して欲しいんだ、北沢」
「猫?猫って、あいつの事か?」
「そうだ」
電話口の相手…祐一のクラスメート、北川…は暫く黙り込んだ後、
「何に使うんだ?」
と尋ね返してきた。
「いい玩具を見つけたんだ。じゃれて遊ぶのを見るのも楽しかろうと思ってな」
「…返答になっていないぞ」
「いいから連れてきてくれ。損はさせない。保証する」
やれやれ、と嘆息した声が聞こえた。
「わかったよ…で、連れてこいと言ったな?今どこにいるんだ?」
「県道沿いの『ホテル月光』304号室」
ゲッ、と息を呑んだ北川の声に祐一は悪巧みを成功させた子供の笑顔を浮かべた。
畜生狙ってやがったな、と毒づく北川に向かって
「今すぐ、と言う訳じゃない…俺は玩具を『下』に運んでおくからその間に
呼びつけてくれればいい」
「…別に今すぐでもいいけどな」
そう言う北川の声に混じって一瞬、……呻き声のようなものが聞こえた気がした。
「?…今何か聞こえなかったか?」
ああ、とどこか面白がっているような調子で返事が返ってきた。
「椅子だよ」
「椅子?」
薄々悟りながらも、確認の意味を込めて祐一は聞き返した。
「人の声のように聞こえたんだが」
「喋る椅子なんだよ」
んぅーっ、と電話口の向こうで呻く声。
聞き間違えようのない、そして祐一には聞き慣れた種類の声。
苦悶の呻きだった。
「なんだ、そこにいるのか」
「いるんだよ」
くっくっと笑う北川の声に祐一は眉をしかめた。
まったく、話が進みゃしない。…まあ、どっちもどっちの様な気もするが。
「そんなら話が早い。こっちはこっちで下に連れてくから」
「ああ、鍵は開けておくぜ…言っておくけどな、遊びすぎて壊すなよ」
「わかってる……まあ見てのお楽しみだ、損はさせんぜ」
「…期待しとくぜ」
ふと、バスルームのシャワー音が止んだ。
「それじゃ切るぞ…そこの『椅子』にも期待させといてくれ」
それだけ言って祐一は素早く通話を切り、鞄に戻すと代わりに鞄の奥から
小さな包みを取りだした。
油紙に包まれていた小瓶の中に、何やら透明な液体が瓶の三分の一程度を
満たしている。
薄いライトに照らされて瓶に写る祐一の笑顔。
唇の端を吊り上げて嗤うその顔は瓶の丸みに引き延ばされ、歪んで見えた。
 
「勝手な奴だなあ」
通話の切れたPHSを懐にしまい、北川は自分が腰掛けている「椅子」を見下ろした。
床に着いた手足が小刻みに震えている。
まあ二時間もこの姿勢なら無理もないか、と北川は自分が腰掛けている「椅子」
と呼ばれた女―まだ少女だ―を見下ろしている。
白い臀部に付いた赤い張り手の痕が生々しく、この少女が折檻を受けている事は
明白だった。
景気づけに少女の(いや、椅子の)尻(にあたる部分)を一発叩いて、北川は
立ち上がった。
「んーーーーっ!」
ボールギャグを噛まされた口から涎の飛沫と共に悲鳴が飛び出し、そのまま
少女はがっくりと床にくずおれた。
ウェーブのかかった長い髪に隠された顔は、長時間の責めにあえぐ少女が
流した苦痛と屈辱の涙で悲惨に汚れている。
「言っとくが、まだ終わりじゃないぜ」
這々の体で床に突っ伏した少女に手を伸ばし、頭の後ろで留められた轡を
外してやると少女は涙に濡れた瞳で北川を見上げた。
怯えと、恐怖と、憎しみと、屈辱と…ほんのわずかな媚びが、目の中にあった。
「いい顔してるじゃないか」
嫌らしいニヤニヤ笑いを浮かべた北川の目から、少女は視線を背けた。
彼女本来の気丈さをこの場で発揮するのは容易かった。
その後自分がどうなるかを考えなければ、の話だが。
「お前に客が来てるらしいぞ……美坂」
「………きゃく?」
ボールギャグを外したばかりの顎で言葉がもつれる。
「ああ…相沢がどうしてもお前に会わせたいと言うんでな」
「………ッ」
相沢。
その名を聞くだけで、香里の躯に震えが走る。
『お前の様な気の強い女はを調教するのも楽しいもんだ…虐めれば虐めるほど、
面の皮が剥がれて良い表情になるからな』
そう言いながら何度と無く自分の体に鞭を振るった男。
酷薄な笑いを浮かべながら自分の処女を奪い、蜥蜴の様な眼差しでこちらを
見つめながら腰を振っていたその顔を香里は一生涯忘れないだろう。
そして…自分がその目に見つめられ、失禁するほど怯えていたにも関わらず、
祐一の動きに合わせて腰を使っていた事も。
ありとあらゆる手管で何も知らない無垢な少女だった香里を開発し、責めら
れる喜びを躯に教え込んだ男、相沢祐一。
その祐一が、『上』に来ている。
しかも、自分に引き合わせたいという『客』を連れて。
香里の表情が強張ったのを見て北川は陰惨な笑みを漏らした。
北川自身は多少の嗜虐癖はあっても本格的なサディストと言う訳では
無く、むしろ北川の趣味はまた別の所にあったのだがそれでもかねてより
目を付けていた香里がこうして怯える様を見るのは何とも言えず征服欲を
満たしてくれる。
「取り敢えず顔を拭いて置いたらどうだ?…その顔を客に見せたいってんなら
別に止めやしないけどな」
俯いていた顔を上げて北川を睨むと香里はのろのろと立ち上がった。
ふらつく足を引きずって洗面所に通じるドアを開くのを眺めながら、北川は
祐一が連れてきたという客のことを考えていた。
それから暫く経っても香里は洗面室から出てこず、大方また中で泣いているの
だろうと当たりを付けた北川が洗面所のドアを叩こうとした時、廊下に繋がる
ドアが開き祐一とその背中に背負われて小さな寝息を立てている栞が姿を現した。
「おう、早いな……誰だ、それ?」
「まあ、後で説明する…それより、香里は?便所か?」
そう祐一が言うのとほぼ同時に洗面所のドアが開いた。
泣き腫らした顔を洗ったのだろう、さっぱりとしてはいるが目の下を赤くした
香里がドアから出てきたとき、真っ先に視界に入ったのは祐一の顔だった。
ある意味では見慣れたその顔を目にした香里は一瞬強張り、次いで祐一が
背負っている人物に目を留めた。
「よう、香里」
まるで朝の通学路で登校途中に出会ったクラスメートに掛ける様に何の気も
見せず祐一が声を掛ける。
目の前の少女が一糸纏わぬ全裸で目を赤く泣きはらしている事を全く気にも
掛けていないかの如く。
この状況でこういう風に振る舞えるこいつの神経は相変わらずわからん、と
心の片隅で思いながら北川は再び問いを発する。
「挨拶はともかく、誰だよそれ?お前の知り合いか?」
「知り合いはそうだが」
そう言いつつ祐一の視線は北川を通り過ぎ、前方の香里を眺めていた。
どこか面白そうな、瞳の中にわくわくした光を湛えて笑みさえ浮かべた表情で
じっと目前の、立ちつくす…ただ立ちつくす少女を眺めていた。
その視線に気が付いた北川も後ろを向き、次の瞬間仰天した。
目の前の香里は、洗面所のドアから出てきた姿勢のまま微動だにしない……違う。
震えている。
傍目から見てもはっきりそれと判るぐらいに膝を小刻みに振るわせ、手指の先を
熱病にかかった人間の様にぶるぶると震えさせていた。
二時間に渡る人間椅子の刑から逃れ、疲労と脱力感から震えているのか。
一瞬そう思った北川の予測は、香里の表情を見た途端霧散した。
白い。
色白とかそう言うレベルでは無くそれこそ文字通り「紙のような顔色」とでも
言うような白さ。
とても人間の顔色には見えない。ペンキで塗ってもこれほど白くはならないのでは、
とさえ思える。
両の眼は極限まで見開かれ、瞼をかたかたと音がしそうな程震わせながら視線は
ただ一点、祐一の背負ったショートカットの少女を凝視している。
裸の上から祐一の物と思しきブレザーを羽織ったその寝顔はこの上なく安らかで。
それを見つめる香里の唇が窒息寸前の魚の様にぱくぱくと上下する。
言葉が出てこない、いやそれどころか呼吸の仕方さえ忘れてしまったのではないか。
明らかに尋常でない香里の取り乱し方に北川は解答を求めて祐一の方を向いた。
この異常な状況で何が楽しいのか、相変わらずの口元に貼り付いた笑みを崩さない
まま祐一は口を開いた。
誰に聞かせるともなく、目の前の虚空に向かって。
「みんな『知らない』だろうから一応紹介しておこうか」
歪んだ唇が災いを呼ぶ言葉を紡ぎ出す。
神にも人にも、己自身にも呪われた者が口にするべきでない、無垢なる者の名を。
「俺の知人…美坂、栞ちゃんだ」
ひっ、と吸い込まれる息。
美坂?
北川が反射的に香里を振り返った次の瞬間、
「いやああああああああああああああああああああああああ!!!」
響きわたる絶叫の中で祐一の唇がつり上がり、目元が嬉しそうに細められた。
「な……なんで………なんで………しおりがっ………」
混乱と驚愕にがたがたと震える香里の瞳は再び涙ぐんでいる。
「……おい、どうなってんだ?その娘は美坂の…妹か何かか?」
香里の絶叫に毒気を抜かれた感の北川が全くわからない、という口調で質問
してくる。
意地悪そうな微笑みを浮かべたままの祐一はそのどちらに対しても口を開かず、
背負った栞をどっこらせ、と床に下ろした。
「…さあ?俺が聞いた限りでは美坂には『妹なんていない』筈だけどな」
香里の体が一瞬震え、全く話の見えない北川は訝しげな視線で香里を見つめ続ける。
『…私に妹なんていないわ』
自分がその一言を祐一に向けたのは何時の頃だったろうか。
それさえも香里の中では遠い昔の事の様に感じられた。
「なんで、と聞いたな」
「………え?」
ふと前を向くと、栞を置いて身軽になった祐一がすぐ側まで近づいていた。
「聞かせてやろうか」
唇を吊り上げてニヤニヤ笑った表情を作っているのに、目は少しも笑っていない。
「『上』のホテルに来たんだよ…もちろん同意の上でな」
「!!」
『上』。
ホテル。
同意。
それらの言葉が香里の消耗した神経に染みわたるより早く
「わかるだろ?栞は”俺と”ホテルに入ったんだ、俺に処女を捧げるつもりだった
んだよ」
「な……」
「当然、これから栞を思う存分栞を可愛がってやるつもりだ…栞の考えとはちょっと
違うかも知れないが、まあ別に構うまい。好きな男に抱かれる事には変わりない
んだから」
「………そ……そんな…」
栞が。
妹が。
余命幾ばくもない、と診断されて以来栞の姉であることを放棄した香里の頭は混乱の
極みにあった。
栞が。
こいつを、相沢祐一を。
好き。
ホテル。
合意。
嘘。
そんな筈が。
でも。
騙されている。
栞。
栞もこの男に犯される。
虐められて。
泣かされて。
ひどいことをされて。
恥ずかしいことをされて、
………わたしみたいに、なる?
突然部屋の中にすぱぁん、という音が響いた。
香里の平手が祐一の頬を捕らえ、そのまま力一杯振り抜かれた。
「……あ………」
すぐに己のしたことに気付き、狼狽える香里。
左の頬に赤い手形を付けた祐一はやり返すでもなく静かに香里を見つめていた。
頬を叩かれたというのに何の感情も見せないその目に震え上がりながら、それでも
香里は挫けそうになる己を叱咤していた。
…栞を、栞を…助けなきゃ……!
「やめとけ」
今の平手を毛ほども気にしていない様子で祐一が言う。
「っ!」
再び平手が飛ぶ。
その手が頬に届く寸前で祐一の左手が蛇のように動き、香里の手首をキャッチすると
そのまま万力のような力で締め上げた。
「うあああっ!」
痛みに呻く香里の背中に素早く回り、掴んだ手首を思い切りねじり上げる。
「いっ、痛いいいっ!」
「…どれだけ『椅子』をやってたのかは知らないが、そんなビンタじゃ蚊だって
潰せんぞ」
ぎりぎりと音がしそうな程に間接をねじり上げ、泣き叫ぶ香里の耳元に口を近づけて
囁く。
逃れようと暴れる香里を床に押し倒し、馬乗りになって全身で覆い被さる。
ふっ、と力を拭き、大きく息を吐く香里に向かって祐一が囁く。
「…罰が必要だな」
罰、という言葉に反応した香里はびくりと大きく震え、身を捩って泣き喚いた。
「いっ、いやあっ!嫌よおっ……!」
ぎりっ!
再び手首が強烈に捻り上げられ、香里の口から悲鳴が漏れる。
そんな香里の様を全く意に介さないまま、祐一は言葉を続けた。
「…ケツの穴に唐辛子を刷り込んでバイブをブチ込んでやろうか?それとも
この前みたいに乳首に虫ピン刺さしてハリネズミみたいにしてやるか…」
「ひぐぅっ……やあっ………やめてよおっ…」
痛みと恐怖で嗚咽し、言葉にならない声を絞り出す香里。
「それとも」
と、祐一の右手がするりと動き、床に接した香里の下腹に潜り込んだ。
香里が抵抗する間も無く祐一の指が茂みを通り過ぎ、その下の固く閉じられた
裂け目へと到達する。
「ひうっ!?」
二本の指でクリトリスを挟まれて奇声を上げる香里の耳元で、酷薄な笑いを
浮かべたまま祐一は言葉を続ける。
「こっちに刺してみるのも楽しいかもな」
「ひいっ!」
香里は恐怖に硬直する。
先日の調教で加えられた針責めの苦痛をまざまざと思い出したのだ。
「いやっ!お、お願いっ!!そんな、そんなことっ…ひぎいっ!」
背筋を弓なりに反らして香里が叫んだ。
陰核を摘んだ祐一の指が包皮を剥き上げ、強く捻り上げている。
「人に物を頼むときは『お願いします』だろ?躾が足りなかったかな?」
ぎゅっぎゅっ、と力を加えられ、香里の目尻から涙が溢れる。
「はひいっ!おっ、おねっ、おねがいしますぅっ!だっ、だからっそんなっっ、
ひいうっ!やっ、やめてくださひいぃっ!」
覆い被さられている為に腰を引くことも出来ず、クリトリスを乱暴に嬲られるが
ままの香里が叫ぶ度に涙と涎の飛沫が飛ぶ。
「やめるって何をだ?はっきり言わないと解らんぞ、言って見ろ!」
「うああっ!わ、わたしのっ「私じゃ解らん!」かっ、香里のクリトリスそんなにっ、
あひいっ!そんなに強く摘まないでくださいぃ!ちっ、ちぎれるううぅ!!」
ぎりっ!
「ひゃああああああああっ!!!」
最後に一際強くクリトリスをつねり上げられ、絶叫した香里はそのままがっくりと
崩れ落ちた。
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ………」
涙に濡れた顔で荒い息を吐く香里の股間から手を引き抜いた祐一はその手指の先を
見つめる。
僅かに付着した、透明に近い粘液質。
祐一は自分の調教の成果とも言える指先のそれを真っ赤な舌を伸ばして舐め取り、
唇の端をつり上げてにったり笑った。
「ううっ……」
這い蹲った姿のまま啜り泣く香里を見下ろしながら、祐一は考えを巡らせていた。
「北川」
「ん?」
「先に栞を中へ運んで置いてくれ」
そう言って床に倒れ伏して眠り続ける栞の方へ顎をしゃくる。
「…何だ、お前も案外堪え性の無い奴だな」
事情を察した北川は薄ら笑いを浮かべ、栞に近づいていく。
「…やっ、やめて…栞は…その子だけは…」
香里が力無く哀願の声を上げる。
そのときふと、祐一の頭に閃いたものがあった。
「ちょっと待った北川」
よっこらせ、と栞を抱え上げた北川は動きを止める。
「やっぱりそのままでいい」
「何だよそれは」
はぁ?という顔をした北川に向かって祐一は続ける。
「気が変わった。運ぶのはいいから、こっちに顔を向けて寝かせてくれ」
そう言った祐一の顔に浮かぶ悪巧みに感づいたのか、北川はしぶしぶ栞を
床に下ろし首を祐一の方に向けさせた。
「香里」
びくん、と震える香里が祐一の表情を仰ぎ見た瞬間、その背筋をぞっとする様な
何かが走った。
悟ったのかも知れない。
今からこの場で何が始まるか、否、自分が何をされるかを。
「こっちに来るんだ」
こっち。
祐一の側。
眠り続ける栞の正面、閉じられた瞼の奥にある視線の真ん前に。
―そんな。
祐一が何をするつもりなのか完全に悟った香里は這い蹲ったまま後ずさり、
嫌々をするように首を振った。
―そんな、まさか、嫌よ、だってそれは―
「香里」
びくっ。
今度の声には威圧がこもっていた。
俺を煩わせるなよ、と。
「…だって…だって、そんな…」
「…香里」
目が合った瞬間、香里はひっ、と息を呑んだ。
怒気が浮かんでいる。
「もう一度だけ言うぞ。…こっちに来い」
氷のような、と言うのも生温い刃物の様な冷たく静かな怒りを込めた視線に怯え、
香里の手足が震える。
その視線の持ち主が自分にもたらした暴虐の記憶が、反射的に掘り起こされて行く。
「……は、い…」
俯いて涙をこぼし、震える膝で這い蹲ったまま、祐一の側まで近づく。
その途端、髪の毛をひっ掴まれて強引に頭を上げさせられた。
「ひいっ!」
痛みに悲鳴を上げる香里が目を開けると、ほんの5p前には爬虫類の瞳。
「自分の立場が分かって無いのかも知れないが」
髪を引っ張られる痛みも忘れた香里はその眼の底にドス黒く燃える地獄の炎を
覗き見た気がした。
「奴隷はご主人様の命令に従う物なんだ、そうだろ?」
「……うっ…あっ…」
―やめて!お願い!その眼で見ないで!
「それとも」
ふっ、と祐一の表情が緩む。
「栞の目の前で犯されるのはそんなに嫌か?」
「そっ…そんなこと…当たり前じゃないっ……!」
膝立ちで身を捩る香里は横を向いて吐き捨てた。
顔も合わせたくなかった。
栞が余命幾ばくもない身であることを知りながら、この男はそれを玩具にしようと
している。
許せなかった。
栞の姉であることを放棄したつもりになっていた自分も。
自分を隷従の地獄に叩き落とし、栞さえも手に掛けようとしている祐一も。
だが、自分に何が出来るというのだろう?
目の前の祐一一人さえ手に余るのに、この上北川まで何とかして栞をここから
連れ出す何て事が自分に出来るわけがない。
自分の無力さに噛み締めた歯がぎりぎりと音を立てる。
香里の目尻から、また一つ涙の粒が零れ落ちた。
「…そうか、嫌か」
祐一はそう言うと以外にも、掴んだ髪の毛を離した。
解放された香里が頭を押さえて痛みの残滓にあえぐ。
と、その耳にぐちゅり、と湿った音が聞こえた。
次の瞬間、香里は声を上げていた。
「ひあっ…!」
何時の間に背後に回ったのだろう、祐一の手が香里の股間に進入していた。
閉じた股を割って入った右手の指先は、香里の中に沈んでいる。
「その割には、凄い事になってるじゃないか」
言いながら、淫液に濡れた秘所をぐちゅぐちゅと音を立てて弄ぶ。
「きゃうっ…う、嘘っ!そんな、そんな…」
驚愕する香里の意志とは裏腹に、香里の中心から溢れ出た雫は太股を滴り落ちて行く。
体を離そうとするが、背後から回された祐一の左手にがっちりと掴まれてそれも
ままならない。
その間にも祐一の右手は香里の花唇を撫で回し、指を出し入れして香里の最も敏感な
柔肉を刺激し続ける。
「あんっ…あっ、あっ、あっ…!はぁんっ…!」
クリトリスを撫で回され、中を擦られる度に香里の口から声が漏れる。
股間から広がる熱に体中が汗ばんでいくのが分かる。
―…嘘…私、感じちゃってる…?
自分の躯の反応に愕然とする香里の目の前に、秘所から抜き取られた祐一の手が
突きつけられる。
「これだけ濡らして嫌もないだろ」
「……ち、ちが…」
左手が乳首を摘み、きゅっ、と軽く絞る。
「あんっ!」
「こんなに乳首固くして、髪の毛引っ張られて感じてたんだろ?」
親指と中指で摘んだ乳首を人差し指で擦りながら祐一は香里の耳元に囁きかける。
 
「はひぃっ!ひぃっ、ひんっ、ひああんっ!」
度重なる調教で躾けられた香里の躯は本人の意思とは関係なく波打ち、歓喜の
鳴き声を上げて股間の肉ビラから淫汁を滴らせる。
祐一の舌が首筋を舐め上げ、香里の背筋にぞくぞくっ、と甘美な震えが走る。
「いい加減に認めちまえよ、お前は妹の目の前で乳首いじられて悦ぶ雌犬だって」
「ひいっ、ちがっ、ちがうぅぅっ!はひぃぃぃっ!」
祐一の右手が再び香里の股間に潜り、固くしこり立ったクリトリスをさすり出す。
―そんな、そんなっ…栞が目の前にいるのに、わたしっ―
妹の目の前で秘所を擦られ、乳首を弄ばれて感じている自分。
香里の心はその事実を死にたくなるほど嫌悪しながら、一方ではその行為が生み出す
背徳感と、それに伴う嵐のような快感に打ち震えていた。
今や四つん這いになった香里は火照った全身を汗で濡らし、覆い被さった祐一に
体中を弄り回されて鳴き声を上げる獣にも見えた。
股間を弄ぶ指の動きに敏感に反応し、心とは裏腹に体が祐一を求め、くわえ込む
矛盾をひしひしと感じて香里の精神は混乱の極みへと向かっていった。
―嘘っ…そんな、凄い―っひっ、栞の、目の前で…っあっ―――!
意識を失っているとは言え、妹の目の前で男に無理矢理愛撫されて、しかも躯が
それに応えてしまっている現実。
香里の精神がそれを受け入れまいとすればするほど、祐一の手と舌で熱くとろけて行く
肉体はより一層激しく陵辱者を受け入れようとする。
祐一に言わせれば『人間の中に眠っている性向の一つを引き出しただけだ』という事に
なるのだろうが、生憎今の彼は無言のまま香里の体をまさぐり、啜り、歯形を付ける
ことに懸命で喋ることにまで口を回す余裕はありそうにない。
床に滴るほどに濡れそぼった香里の秘所は水っぽい音を立てて祐一の指を迎え入れ、
中の襞を擦られる度に香里の躯に痺れるような甘さが走る。
「ひあっ、あんっ、あんっ!あっあっ、ひああんっ!」
口から漏れる声を止められぬまま、香里は躯の奥深くから大きな波が押し寄せて
くるのを感じていた。
「あっ、だっ、だめっ!もうだめえええっ!ひぁあっ!」
突き動かされるように叫び、香里が達しようとしたその瞬間。
祐一の指が動きを止め秘所から引き抜かれた。
香里の性感帯を絶妙な正確さで責めていた動きが止まり、心地よささえ―蹂躙される
喜びさえ―感じていたのしかかる重さが消えた。
「あ…っ…なっ…なんで…」
自分の疑問が『なんで止めてくれたの?』ではなく『なんでイかせてくれないの?』
と言う事なのをおぼろげに意識しながら、それでも香里は問わずにはいられなかった。
躯が熱い。
火が着いたように火照った全身の細胞が、祐一に触れて貰いたがっている。
絶頂寸前まで高められた性感がびくびくと肌を震わせ、汁を垂らす肉穴はぱくぱくと
開いて男を欲しがっている。
「言っとくが、自分で慰めるのはナシだぞ」
立ち上がって香里を見下ろす祐一の無慈悲な声が響く。
「そんなことをしたら、指の代わりに拳を突っ込んでやるからな」
汗ばんだ背筋に震えが走った。
恐怖ではない。恐怖ならまだ良かった。
―そうされるのもいいな―
一瞬、ほんの一瞬だが頭を通り抜けたその考えに香里自身が慄然とした。
―私…どうなっちゃってるの…
だが、その考えも祐一の次の台詞を聞いた瞬間頭の片隅に追いやられた。
肉欲という名の魔物の手によって。
「俺が今から言うことを聞くなら、イかせてやってもいいぞ」
びくん。
香里の体が跳ねる。
―イかせて!
―だめ!栞が目の前にいるのよ!
―お願い、このままじゃ、このままじゃ…っ!
―ここで私が屈服したら、誰が栞を守るの!?
―ダメ、このままなんて耐えられないっ!狂っちゃうっ!
―こんな奴に、栞の、妹の目の前でなんて絶対…絶対だめっ!
二つの相反する感情が香里の中で葛藤する。
限界まで高まった肉欲と、姉としての自尊心。
引き裂かれそうな心を抱えたまま、香里は這い蹲って震えていた。
 
どちらにも振り切れず、迷い続ける香里の表情を見て取った祐一はふん、と
鼻を鳴らし
おもむろにズボンのジッパーを下ろし始めた。
その音に香里が思わず顔を上げ、前を向く。
完全に開いたズボンの前からごそごそと祐一の手が動き、突然―香里にはそう
見えた―
突然、まさしくズボンの前からこぼれ落ちるように祐一の逸物が姿を見せた。
「……っ…」
剥き出しになったドス黒い亀頭、血管の浮き出た肉質の竿。
自分の秘裂を何度と無く貫き、その度に腰も立たなくなるほどの激しさで香里に
目も眩む様な快感を教え込んだ祐一のペニス。
それを見た瞬間、香里は自分の腰がぶるるっ、と震えるのを感じた。
もう、押さえきれない。
理性も、尊厳も、義務も、何もかもが押し流されて行く。
喉に何かが詰まって、声が出せないような感覚。
「コレが欲しいか?」
ぶるっ。
震える。
「っ…う…あ……」
声が出ない。
もはや自分が何を考えているのかさえ分からない。
カラダの中心から起こる熱に浮かされて、香里の思考は半ば麻痺していた。
「コレが欲しいなら」
一拍置いて、祐一は続ける。
「こう言うんだ。『私は妹の目の前で欲情してオ○ンコからエッチな汁を垂れ流す
雌犬です、どうかこの雌犬のオ○ンコにご主人様のチ○ポをブチ込んで下さい』ってな」
「………っ!!」
「当然、その恰好のまま尻を向けてだ。そうだな、折角だから自分の手でオ○ンコが
中までよく見えるように広げて貰おうか」
香里の心臓は早鐘どころか車のエンジンのように高鳴っていた。
チ○ポという言葉を聞くだけであそこから恥ずかしい液を涎のように垂れ流して
しまっている。
だが、香里に最後に残った一欠片の理性はこう囁いていた。
―この要求を聞くことは、自分に残った最後の尊厳さえも売り渡す事になる、と。
祐一は栞の目の前で、私が見捨てた筈の妹の目の前で、決定的な隷属の言葉を口にさせ
たいのだと。
そう。
従ってはいけない。
拒絶するのよ。
私はあなたの奴隷じゃない、自由な意志を持った一人の人間だと。
私も妹の栞も、あなたの好きになんて絶対にさせない、と。
だから。
こんな…こんな肉の疼きなんて、忘れてしまわなくては。
 
そう、言わなくては、目の前の相沢に向かって。
『私は貴方の奴隷じゃない』
と。
「…わ……」
そう。
「…わたし………は…」
あんたなんかの奴隷じゃない。
「…ごしゅじん…さまの……め…雌奴隷…です…」
あなたの言いなりになんてならない。
「ご主人様の…言う通りですぅ……わたしはっ…しおりの…いっ…いもうとの
目の前で………」
「目の前で?」
その時、香里の頭の中で、何かが弾ける音がした。
それは気のせいだったのかも知れない。
だが、確かに香里の耳には聞こえた。
何か、紐のような物が千切れる音が。
「おっ…オ○ンコから汁を垂れ流してたんですぅっ!!香里は、香里は妹の目の前で
ご主人様にいじめられてアソコベトベトに濡らしてたんですっっ!」
自分の口が勝手に動く様を聞きながら、香里はぼんやりと思っていた。
―ああ―…わたし、壊れちゃったんだ……
「だからっ…だから…」
「だから?」
火が着いたように火照った躯を捩り、香里の肉体は僅かに残った理性を完璧に
裏切る行為に出た。
四つん這いになった姿勢のまま尻を尽きだし、両手でくちょぐちょに湿った秘唇を
割り広げる。
ぱっくりと割れた赤く色づくマ○コからピンク色の内奥が覗き、男を欲しがって
太股まで汁を垂れ流している香里の姿。
「わたしのっ、香里のオ○ンコにご主人様の、ご主人様のチ○ポハメてくだ
さいいいっ!ご主人様の熱くて太いのブチ込んで下さいぃっ!」
懇願する香里の声はもはや泣き声に近く、その顔には涙さえ浮かんでいた。
祐一が欲しい。
熱く湿った自分の中に、祐一の硬く節くれ立った肉棒を迎え入れたい。
香里の頭にはもうそれしか浮かばなかった。
「よく言った」
香里の痴態を眺める祐一の男根は既に硬く怒張し、血管を浮かび上がらせて
反り返っていた。
「正直に言ったご褒美だ。入れてやるよ…ほら、ケツ上げろ」
膝立ちになって香里の秘所に男根をあてがうと、それだけでくちゅっ、と湿った
音が立つ。
「あっ…」
―熱い。
股間に直接感じる祐一の感触に、香里の口から思わず声が漏れた。
「―行くぞ」
そう言うが早いか、祐一の腰が前に突き出された。
肉の壁をずぶずぶと押し分け、一気に香里の膣内に侵入していく。
「ひああっ!」
待ち望んでいた感触に躯の奥を一息に貫かれ、香里は思わず叫んでいた。
ずん、と脳天まで響く快感に、地面に付いた手まで震える。
祐一の腰が前後に動く度に部屋の中に押し殺した喘ぎが響き、肉と肉のぶつ
かり合う卑猥な音が木霊する。
床に着いた香里の両手は悶えるように地面を掻いた。
狂おしく猛る肉欲の炎!
香里の全身を焦がすその熱は意に反して香里に祐一を迎え入れさせ、祐一の
一突きごとに口から悲鳴にも似た声を上げさせる。
「あっ、あんっ、やっ…」
今や自分も床に両手をつき、香里の上に完全に覆い被さった祐一はすぐ下で
揺れる長い髪に隠された首筋に顔を寄せた。
立ち上る甘い雌の体臭を一杯に嗅ぎながら、上げた片手で髪を上げる。
「!ひゃっ…」
首筋を軽く噛まれただけで、香里の背筋がぶるっ、と痙攣する。
じゅぷっ…じゅぷっ…じゅぷっ…
尻を打ち付ける音に混じって聞こえる水っぽい音が、また少し大きくなった。
「全くはしたないな…妹の目の前で姦られて声どころかこんな大きな音まで
立てやがって」
「いやあっ…そんなっ…あうっ!…」
じゅぷっ…!
「きゃうっ!」
否定しようとした香里の声を一際強く、奥まで貫いて塞ぎ、祐一は再び香里の
首に顔を埋めた。
香里の弱点は全て知り尽くしている。
耳、首筋、背中、あらゆる場所を手ずから開発したのは祐一本人なのだから当然
ではあるが。
祐一の舌が肌を這う度に躯を捩らせ声を上げる香里の性感は、もはや自分の意志
ではどうにもならない高みまで押し上げられてしまっていた。
「あ…っ、あん…あ、っ…ひうっ!」
絞り出す様な喘ぎはもはや声にもならない。
祐一の動きに合わせて腰を振る度に膣壁が蠕動し、さらに奥深くまで祐一を
迎え入れようとする。
ゼリーの襞が蠢くような感触が祐一の男性器を駆け登る。
その快感と共に祐一の内に沸き上がる征服欲と、それが満たされつつある時に
だけ感じる高揚感。
陵辱の時にだけ感じるその炎だけが、冷え切った祐一の心に僅かな輝きを
灯してくれる。
「いいぞっ、香里…っ、お前のその声、その姿、そのマ○コ、最高だ!!
そらっ、もっと鳴けっ!」
ずちゅっ!ずちゅっ!ずちゅっ!
「ひああっ!!ひい、ひっ、っ、ひんっ!」
動きが更に激しさを増し、香里の上体が床に崩れ落ちる。
体を支える事さえ出来なくなった両手で地面を掻き、全身を震わせて泣き叫ぶ
香里とその体に覆い被さって腰を使う祐一の姿は、獣が絡み合っているようにも
見えた。
「…だ、っ、だめっ…わたし、わたしっ、もうっ!もうだめえっ!」
感極まった香里が泣き声を上げたその時だった。
「………ん………」
床に倒れ眠り続ける栞の唇から、小さな呻きが漏れた。
ほんの小さな、寝言とも言えないような声。
何かの弾みで漏れたのだろうその声は、微かだが確かに祐一の耳に届いた。
そして。
「〜っ!?」
息を呑んだ香里がびくりと震え、粘膜が祐一を包むようにきゅっ、と収縮する。
「ほら、香里があんまりでかい声出してよがるから、栞が起きちまうじゃないか」
「…ひっ…あっ…」
「なんせ目の前だもんなぁ〜ほれ、どうやって説明するんだ?この状況を」
「いやっ…そんな……」
ぐちゅっ!
「あうっ…!」
祐一の右手が繋がったままの股間を弄ぶ。
「ほらほら、声を出すと本当に起きるかも知れないぞ?何せここに連れてきて
すぐ遊ぼうと思ったもんで薬の量少な目にしたからなぁ」
ぬちゅっ…くちゅっ…
「ひんっ…」
声を殺すのに必死の香里には、罵倒することさえ出来ない。
しかも祐一の手の動きはオーガズム一歩手前の香里の性感を決してイかせない
様な緩やかな刺激しか与えてくれない。
絶頂寸前の躯をいいように弄くられているのに声を出すことも、達することも
禁じられているような物だ。
「ひぅうっ…」
きつく閉じた目尻からまた涙が零れたが、それが何の涙なのか、もう香里にも
わからなかった。

未完

 

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